目次
- 1 Q1 家で地震が発生したら退避する場所は?
- 2 Q2 トイレが地震に強いというのは本当?
- 3 Q3 「地震の時は慌てて外へ飛び出すな」は正しい?
- 4 Q4 地震の時、古い木造家屋の2階にいたら?
- 5 Q5 緊急地震速報とは?
- 6 Q6 木造家屋の安全ゾーンはどこ?
- 7 Q7 地下街や地下鉄の駅で地震に遭遇したら?
- 8 Q8 地下は地震に強いというのは本当?
- 9 Q9 地下鉄乗車中に地震に遭ったら?
- 10 Q10 ドライブ中に緊急速報や地震があったら?
- 11 Q11 デパートやスーパーで地震が起きたら?
- 12 Q12 街中の歩道で地震が起きたら?
- 13 Q13 エレベーターで地震に遭ったら?
- 14 Q14 エレベーターに閉じ込められたら?
- 15 Q15 地震が起きたら最優先するのは火を消すこと?
- 16 Q16 地震後停電していたらローソクを点けてもいい?
Q1 家で地震が発生したら退避する場所は?
答え
原則は安全ゾーンへ退避すること。
安全ゾーンとは「転倒落下物の少ない閉じ込められない場所」のこと。
「机の下に身を隠す」が正解のケース
- それしか方法がない場合
- 身体が不自由で動かせない場合
- ほかに避難する余裕がない場合
- きわめて耐震性が高い建物の中にいる場合
しかし、どんな状況でも「机の下に身を隠す」が正しいと決めつけるのは危険!
- 古い木造建物だと倒壊する可能性がある
- 倒壊しなくても天井が落下する
- ドアが変形して閉じ込められる
- 万が一火災やガス漏れが発生しても逃げられない
机の下にとらわれず、小さな揺れや緊急地震速報のときにドアを開けて避難路確保し、安全ゾーンを確保する。
日頃から心がけること
- 状況ごとに今いる場所の安全ゾーンを確認
- どう避難したら安全か、退避しない方が安全かシュミレーション
- 余震が頻発するおそれがあることを知っておく
- 家が危険だと思ったら、安全と思われる避難場所で様子見
対策:建物の耐震診断、耐震補強は不可欠。
特に1981年以前の建物は耐震性が低い可能性があるので確認する。
Q2 トイレが地震に強いというのは本当?
答え
必ずしも地震に強いとは限らない。
特定の場所が安全だと決めつけるのは危険!
昔は「地震に強いのはトイレ」といわれていたが、それは昔の木造建物だから。
昔の家のトイレは四方に太い柱があった。
- 最近はユニット形式などで、四方に太い柱がない
- トイレは壁に囲まれていて出入り口が一つ
- ドアの密閉性が昔より高い
- 地震の揺れでドアが変形すると閉じ込められる
- 閉じ込められると自宅から出られなくなる
- 周辺で火災やガス漏れが発生しても逃げられない
対策:急いでドアを開け、玄関などの安全ゾーンへ移動する。
間に合わなければドアを開け、姿勢を低くして揺れが収まるのを待つ。
揺れが収まったら、玄関のドアを開けて避難路を確保して様子見。
余震が頻発する恐れがあるので、家が危険だと判断したら、安全と思われる避難場所で一時様子見。
Q3 「地震の時は慌てて外へ飛び出すな」は正しい?
答え
倒壊の恐れがある建物(古い木造建物など)にいたら、屋外の安全ゾーンへ退避すべきである。
以前から地震の時は「慌てて飛び出すな」といわれてきたがそれも一理ある。
その理由は…
- 出入口などの上から瓦、壁、ガラスなどの落下物で負傷する危険性があると考えられていたから。
しかし…
倒壊の危険性やドアが変形する恐れがある古いビルや住宅なら、建物倒壊で閉じ込められる危険性がある。
古い建物の1階にいたら、できるだけ早く屋外の安全ゾーンへ退避すべきである。
そのためには…
- 事前にドアの耐震化対策
- 出入口などの落下物対策
Q4 地震の時、古い木造家屋の2階にいたら?
答え
慌てて1階に降りない方が安全。
倒壊する危険のある古い建物の1階にいたら、事前に出入り口付近の落下物対策をして直ちに屋外の安全ゾーンへ退避する。
もしも2階だったら慌てて1階に降りない方がよい。
その理由は…
- 階段を踏み外す
- 1階が倒壊する危険性がある
- 地震発生時、古い木造2階建は2階が安全
- 家屋が潰れてもすき間ができて生き残れる可能性が高い
- 地震だけを考慮すれば、寝室は2階が安全
緊急地震速報や地震の揺れを感じたら…
- 古い木造建物の1階にいたら直ちにドアを開け安全ゾーンへ移動
- 大揺れ地震でのドアの変形を想定して、小さな揺れでも防災訓練
- ドアを開けて避難路を確保
- 小さな揺れや緊急地震速報でドアを開け、安全ゾーンへ退避する癖をつける
- ドアを開けても閉まらないように、サムターン(ドアの室内側についている、錠の開け閉めを行うために使う金具)を回しておく
- そして最後に靴をはく
Q5 緊急地震速報とは?
答え
地震発生後、大揺れが来る前に知らせるシステム。
大揺れ(S波)より先に到達する小さな初期微動(P波)を観測し、震度5以上の揺れになると想定される地域に発表される気象庁のシステム。
震源の距離によって異なるが、大揺れが到達する数秒から十数秒前に知らせ、被害を最小限に抑えようとする。
緊急地震速報が発信されない場合とは…
- 深発地震(200km以深で発生する)の場合
- 都市の直下地震のように震源が近い場合
- 緊急地震速報発表前に大揺れが到達する場合
- 誤報や空振りもあることを認識しておく
- 空振りは命を守る防災訓練になったと思うこと
- 緊急地震速報の発表がなくても揺れに反応して退避する
Q6 木造家屋の安全ゾーンはどこ?
答え
絶対ではないが、比較的安全なのは玄関。
50年間のデータから玄関だけ残っている木造家屋が多かった。
その理由は…
- 玄関は居室と違い、狭い面積に柱の数がいっぱい配置されているから
- 玄関に行ってドアを開けることで避難路確保ができるから
- 緊急地震速報・地震の揺れで玄関に行くことは安全ゾーンの確保になるから
ドアを開けサムターンを回し手を離しても閉まらないようにしてから靴を履く
Q7 地下街や地下鉄の駅で地震に遭遇したら?
答え
まずは身の安全を図り、その場の安全ゾーンへ退避する。
揺れが収まったら、非常口や階段などに殺到するパニックに巻き込まれないよう安全に留意して可能な限り早めに地上へ避難する。
地下街・地下鉄駅の安全ゾーンとは…
- 照明器具、電光掲示板、ガラス、陳列棚、落下物等から離れた太い柱の陰
- 倒落下物が少なくガラスが飛散しない場所
- 多くの人が慌てて走り出だしたらその中には入らない
- 太い柱の陰に身を隠して人の流れをやり過ごす
地下の密封空間で怖いことって…
- 津波、火災、ガス漏れ、停電、パニックに巻き込まれること
- 災害が発生すると群衆に流されて平常心を失うこと
- 密閉された地下にいるという認識だけで不安が増幅されること
解決のチャート
安全ゾーン(太い柱の陰)への退避 ⇒ 身の安全を確保 ⇒ 揺れが収まるのを待つ ⇒ パニックを避けて安全な避難口から退避
Q8 地下は地震に強いというのは本当?
答え
地上の構造物より地価のほうが強いといわれているが、すべての地下が絶対安全とまではいえない。
阪神・淡路大震災を例にとると…
- 神戸市兵庫区の大開大通りの道路陥没
- 広い範囲で陥没した原因は海に近く脆弱な地盤だった
- 道路下にある地下鉄大開駅が崩壊していた
重要なのは…
- その場その場で身の安全を確保
- 揺れが止まったら慌てず早めに地上脱出
- 地上の出口付近では火災ガス漏れの有無を確認
- 地上出入り口が危険と判断したら他ビルとの連絡通路を探す
Q9 地下鉄乗車中に地震に遭ったら?
答え
原則は係員の指示を待つ。
地下鉄の線路やトンネルには高圧電線があるので、慌てて線路上へ飛び出すのは危険!
火災発生、煙やガスの充満、浸水の恐れがあるのに、係員の指示がないときは、周囲の人に声掛けをして自分たちの判断で非常用コックを開けて非難する。
係員の指示を待つのが原則だが、係員の判断が絶対正しいとは限らない。
2011年5月JR北海道のトンネル火災事故を例にとると…
- トンネルと車両内に煙が充満
- 係員の適切な避難誘導がない
- 危険と察知した乗客たちの判断で脱出
- それでも90人の負傷者が出た
JR北海道の火災発生時の避難マニュアルにミスがあった。
Q10 ドライブ中に緊急速報や地震があったら?
答え
- ハザードランプを点滅
- 前後の車に注意しながら徐行
- 左側に寄せて駐車
幹線道路では…
- 急ブレーキは厳禁
- 安全な路肩に駐車
- ラジオで地震情報・津波情報を確認
- 被災地であれば横道に入り広場・駐車場に停める
高速道路では、近くのPAやSAに移動して様子見。
崩れそうな崖や橋の近くでは、そこから離れる。
停車後クルマから離れるときは…
- キーはつけたまま
- ドアロックしない
- 連絡先のメモを残す
- 車検証をもって徒歩で避難
Q11 デパートやスーパーで地震が起きたら?
答え
- その場で安全を図り係員の指示に従う
- 陳列棚やガラス、照明器具などの落下物から離れる
- できるだけ広い場所に移動する
対策:店内にある避難経路図で非常口、安全ゾーン(地震一時避難場所など)を確認しておく。
係員の指示・安全ゾーンが不明の場合…
- 転倒落下物のなさそうな広いスペースで身体を低くして揺れが収まるのを待つ。
- 店内の灯りが消えてしまったら、床や壁の通路誘導灯、天井の非常口誘導灯を目安に避難する。
- 転倒落下物が少なく丈夫な構造のエレベーターホール、階段室に避難する。
Q12 街中の歩道で地震が起きたら?
答え
- 建物から離れる
- 離れられない時は安全そうなビルの陰かビルの中に入る
街中で地震が起きたとき危険なのは、ガラス、壁、看板などの落下物。
阪神・淡路壇震災で、街中の歩道にガラス、看板、はがれた壁、屋上にあった室外機の残骸があった。
対策…
- 頭とバッグの間が少し空くようにして頭にかざすし安全そうなビルに入る
- 頭にピッタリくっつけていると、重く硬いものが落下した衝撃で首を骨折する危険がある
- 車が暴走している可能性があるので道に飛び出さない
Q13 エレベーターで地震に遭ったら?
答え
- すべての階のボタンを押す
- 停まった階で降りて階段で避難する
最近のエレベーターは、地震時管制運転装置が設置されているので、初期微動の段階で最寄の階に停止する。
Q14 エレベーターに閉じ込められたら?
答え
- 戸開ボタンを押して戸が開くか試す
- すべての行き先ボタンを押してほかの階に行けるか試す
- 開かない場合は緊急連絡ボタンや緊急連絡先などで救助を要請し係員の到着を待つ
- 比較的新しいエレベーターには防災セットが設置されている
Q15 地震が起きたら最優先するのは火を消すこと?
答え
目の前で火を使っていたら直ちに消す。
火元から離れていたら、その場で身の安全確保が最優先する
1993年1月の釧路沖地震を境に「地震だ、火を消せ!」から「地震、まず身の安全、そして火を消せ!」になった。
Q16 地震後停電していたらローソクを点けてもいい?
答え
地震直後は火気厳禁を厳守!
阪神・淡路大震災のデータから
- 阪神・淡路大震災は冬の朝5時46分に起こったので外は真っ暗だった
- すぐに停電だったので仏壇などのローソクに火をつけた途端漏れていたガスに引火して火災になった