なぜ?今安否確認システムなのか

日頃から稲荷町区の活動に、ご理解ご協力をいただきましてありがとうございます。
近年、台風やゲリラ豪雨・線状降水帯などの突発的な激しい雨で、河川の氾濫・土砂崩れ・土石流が発生し多くの犠牲者が出ています。

  • 2017年7月上旬の九州北部豪雨:7月5日から6日にかけて福岡県と大分県を中心に九州北部で発生した集中豪雨。福岡県や大分県で複数の河川が氾濫。犠牲者は行方不明を含め42名
  • 2018年7月上旬の西日本豪雨:岡山県倉敷市真備町の浸水被害、広島県広島市安芸区の土石流、広島県三原市の浸水被害、愛媛県西予市のダム放流による氾濫、愛媛県宇和島市の土砂崩れなど。犠牲者は14府県で関連死を含めて約300名
  • 2019年9月上旬の台風15号:令和元年房総半島台風。中心気圧955hPa・最大風速45m/sの「非常に強い」台風が千葉県南房総市を直撃。犠牲者は9名
  • 2019年10月の台風19号:令和元年東日本台風。福島県阿武隈川流域の反乱、宮城県の阿武隈川支流流域の氾濫、千葉県市川市の竜巻、群馬県富岡市の土砂崩れなど。犠牲者64名
  • 2020年7月上旬の豪雨:令和2年7月豪雨。熊本県球磨川の氾濫で関連死を含めた犠牲者は84名
  • 2021年7月上旬の豪雨:令和3年7月4日。線状降水帯による豪雨により静岡県熱海市で土石流が発生し家屋130棟以上が流され犠牲者は約30名に

ここ5年だけでも、まるでお約束事のように、豪雨や台風による大きな物的・人的被害が起こっています。

豪雨で共通しているのは…

  • 梅雨前線が突然変異したゲリラ豪雨と線状降水帯が原因であること。
  • 7月上旬に集中していること。
  • 被災者がこれほど多くの犠牲を予想だにしなかったこと。

こんな悲劇が、日本中どこでも起こりうる状況下でいえることは、「命を守るために警戒と対策の意識を強く持つ」ことです。もはや「稲荷町は絶対に安全!」という夢物語は通用しない時代となったのです。
梅雨末期は、とりわけ警戒と対策の意識を高めなければなりません。

命を守るための基本は、空振りになることを苦にしない早めの避難が必須です。
災害時にスムーズに対応できるよう、ふだんから意識して備える習慣が大切になります。

コロナ禍で避難のあり方は大きく変わりました。今までは行政が指定した避難場所へ移動することを最優先としてきましたが、「蜜」を避ける必要性から「分散避難」が推奨されています。

避難所の他、自宅の2階への垂直避難、親類・知人宅などを選択肢とする複数の「マイ避難先」を想定すること。
一律に避難所へ向かうのではなく、命を守るために一人ひとりが考え、行動することを目指さなくてはなりません。
それには、行政主導の避難訓練ではなく、自主的で定期的な避難訓練が必要不可欠です。

他町にさきがけITを利用した防災モデル町区としての情報発信も視野に入れたい。
これらを踏まえて、当町会では災害時に町内会員の安否確認を迅速化するため、安否確認システムを導入いたしました。

安否確認システムとは?

避難指示(2021/5月より勧告を廃止し指示に一本化)等の避難情報が発令された時、住民自らが避難行動を発信し、その情報を住民みんなで共有して助け合いができる自助・近助・共助のツールとなります。
ホームページ上にも明記していますが、稲荷町では公助の限界を知ったうえで、まずは自助、同時に近助、そして共助という意識で、最終的に公助を待つというスタンスをとります。

スマートフォンを利用している人を中心に、IT弱者といわれている方にも、サポートメモを併用することで、住民全体の安否情報が把握できます。
発信自体の有無を確認して、真の安否不明者を洗い出し、「近助」最優先の素早い対応が可能になります。